街頭献血の野望
献血といえば、貧血になりやすい体質なのに、何を悟ったのか高校生の受験期に友人と初めて行き、調子に乗って400ml成分献血を行ったら、案の定目の前が真っ白になり、死にそうになったことで有名なのは吾輩だ。
吾輩はすかさず緊急ボタンを押し、
「やべえっす、前見えないっす」
目の前の看護師は、頭に血がいくように慌てて私のベッドをまっさかさまに。
無事一命をとりとめた吾輩は、血を抜いてほしい一心でそのまま献血を続投。
どうやら、副交感神経が発達しているらしく、血管が広がり、重力に従い血は下に。
脳みそに血がいかなくなったらしい。
「生物」の科目をとっていた吾輩は、この体験を活かし、センター試験では97点という驚異的な数字をたたき出した。
たったこれだけの経験でも、学びがある、素敵な世界ではないか
ちなみにこういった経験をされる人は、70兆人に7000億人いるらしい。
つまり100人に1人はいるらしいので、私のように赤っ恥をかきたくない人は、最初から頭が下になるようにベッドを調整してもらうといいだろう。
快適に何事もなかったかのように献血をしていただけ、あなたの奉仕の心と純粋すばらしき真っ赤に燃える、いやむしろ体内では真っ黒でその何とも言えない生命にしか生み出すことのできないその血が、同じ生物体であり、かといって決して同じものはない、唯一無二の命を救うだろう。
なんてことは置いといて、私は街頭献血の方法に関してもっとユーモアを取り入れてはいいのではないかという主張をしたい。
よく横浜駅の相鉄口でA型何人、B型何人...なんて、プラカードを持ちながら
「献血のご協力をよろしくお願いいたします!!!!!シャウラーーーー!!!!」
なんて気合の入った呼びかけをしている人たちがいるが、あれでは今まで献血をしたことのある人で、なおかつたまたま時間があり、集団というよりかは個人で、まるで私のように一人ぼっちで街をうろついて、副交感神経が正常な99/100の中の上記条件を満たしている人間くらいしか足を止めて献血をしようなんて思わないだろう。
お米、5kg無料で差し上げます。
なんて決まり文句も、はえぬきとつや姫をこれでもかと送ってくれるマイスウィートスウィートおばあちゃんのいる副交感神経が発達している1/100の私にはなんの魅力も感じない。
たとえば、そのプラカードに工夫をしてみてはいかがだろうか?
A型 〇人
B型 △人
O型 ◇人
AB型 □人
クワガタ ☆匹
どうだろうか
このつまらないギャグに、おそらく子どもたちはパパママに真相を尋ねるだろう。
そしたらパパママはこう答える。
あれはね、クワガタを血の代わりに寄贈することができるんだ。
そしたらね、次の取引が成り立つんだ。
クワガタがほしい人が、献血をしにやってくる。
クワガタをほしい子どものいる家庭のパパママが献血をすることでクワガタが血に変わるんだ。
クワガタを寄贈した人、そしてクワガタがほしくてほしくて震えている西野カナばりのこどもたちのパパママはクワガタを得ることで、お互いの欲を満たすことができるんだよ。
お前もクワガタいるか?
クワガタがほしくてほしくて震えている西野カナばりか?
そうか、んじゃちょっと献血してくるから、ママと待っててね!
素敵な取引ではないか。
誰も損はしない。
いや、強いて言うなら勝手に取引条件にされたクワガタはいやな思いをしているだろう。
クワガタに声があるならなにを叫ぶんだろう。
自由と解放の歌を世界に響かせているだろう。
俺の頭には虹色の戦争が流れていることは言うまでもない。
ちょっとしたユーモアで献血が身近になるではないか。
では今度はどうだろうか。
A型 〇人
B型 △人
O型 ◇人
AB型 □人
やまがた ☆ヘクタール
ええ、お察しの通り今度は血の代わりに山形の土地を献上して見せよう。
おそらくこの世には、土地を持っているだけで膨大な税金を支払い続けている国民がたくさんいるだろう。
その土地は今や荒地、雑草ぼうぼうでボボボーボ・ボーボボである。
ボボボーボ・ボーボボでは、たくさんの生き物が住み、そこでは新たな生命の営みが行われ、声を大にして言う。
「人間は生まれたときは自由である。しかるに人間はいたる所で鉄鎖につながれている。」(ルソーさんの名言)
俺には理解できない。
自然に囲まれた山形の土地をほしがり、街頭献血で得た土地に、お金に余裕のあるたくさんの人たちがきてくれる。
吾輩の大好きな山形が、潤い、学祭の出店ではこれでもかというくらいの下ネタを炸裂させている吾輩の母校である「山形N校」には、秀才が集まり、高校の素晴らしさを伝えるべく、生徒会総会では「ふんどしを制服にしてはどうか」という議論がなされ、夏にはそれはそれは汗臭い校舎も、ふんどしのおかげでファブリーズがやっと効くくらいの臭さになり、3年生の教室だけにあるエアコンの稼働も激減。
地球温暖化の加速に歯止めをかける手助けをするだろう。
ふんどしが制服になった高校が、いづれ秀才を生み出し、東大進学率の高い「山形H校」を抜き、
「ふんどしを制服にすれば、学力が上がる」
という風潮が生まれ、日本中の高校の制服がふんどしになるのも夢ではないだろう。
そしてまたこの街頭献血のつまらないギャグに、子どもたちはパパママに真相を尋ねるだろう。
そしたらパパママはこう答えるのだ。
あれはね、山形の土地を血の代わりに寄贈することができるんだ。
そしたらね、次の取引が成り立つんだ。
山形の土地をほしい人が、献血をしにやってくる。
山形の土地でいっちょ農業でもやって定年後の穏やかな暮らしを夢見る家庭のパパママが献血をすることで山形の土地が血に変わるんだ。
山形の土地を寄贈した人、そして山形の土地がほしくてほしくて震えている西野カナばりの日本国民のは山形の土地を得ることで、お互いの欲を満たすことができるんだよ。
え?それより、クワガタがほしい?
んじゃ、クワガタがいつでもやってくるような山形の土地をもらってくるよ
ちょっと献血してくるから、ママと待っててね!
結局クワガタは、世界を救う。